寄居の山賊

山キチ男の山行記録(旧サイトより徐々に移行中)

山行記 日本300名山

No,156 北海道:カムイエクウチカウシ山(1979m)

2024/03/25

平成17年7月12日~16日(4泊5日)   MB Mr,ARAI

7/12(曇り後晴)  寄居(04:30発)~熊谷(05:10着05:15発)~羽田空港(07:15着08:05発)~十勝帯広空港(09:50着11:00発)~日高山脈山岳センター(11:30着12:20発)~静内中札内線ゲート(14:00着14:45発)~七ノ沢出合(16:30着16:35発)~八ノ沢出合付近(19:00着)

いよいよ念願のカムエク行である。出発前日、新井君は我が家に宿泊、朝は5時過ぎの高崎線に乗る。(車は上之店に駐車)荷物は事前に日高山脈山岳センターに送り、軽装で移動する。 飛行機は10分遅れで無事十勝帯広空港に到着。レンタカーの手続きを済ませ11時に出発した。30分ほ程で日高山脈山岳センターへ到着、荷物を受け取るが、新井君の荷物が12時に到着するまで待つ事になってしまう。情報を聞くが、三俣や三段ノ滝など雪が多くアイゼンも必要との事で、今月も2パーティーが撤退している。色々考えたが天気も良いので決行に決める。 中札内のスーパーで買出しし一路七ノ沢に向かう。ゲートを発ったのが午後3時と遅くなってしまう、途中林道でキタキツネと出会った。  2時間弱で七ノ沢出合に到着、沢は広く解り辛い。マーカーを頼りに進むがマーカーの数は多くは無い。試行錯誤しながら沢を詰めて行く、渡渉は相当な回数である。水は予想ほど冷たくは無いが、上流に行くに従い沢幅は狭くなるがその分水流が強く水深も深くなる。ももまで水に浸り下着まで濡れる。  中ノ沢を過ぎる頃より沢も深く、高巻きが多くなる。途中より右岸に高巻く道にマーキングがしてあり熊笹の中を漕ぎながら進み、薄暗くなった7時頃やっとこ八ノ沢出合付近に到着、10分ほど進んだが、出合のテントサイトは解らず札内川の岸辺に幕営した。  真っ暗の中テントを設営し食事をとった。虫が予想通り多く、威たる所を刺された。さすがに今回は荷物も圧倒的に重く、4時間以上係ってしまった。空には満天の星、明日の成功を祈り10時には就寝した。

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7/13(晴後曇)  八ノ沢出合付近(04:30発)~1,000m三俣(08:00着08:35発)~三段ノ滝(09:10着09:15発)~八ノ沢カール(13:00着)その後ビバーク

3時半起床、4時半出発。濡れた沢靴が冷たい、マーカーを頼りに沢沿いを進む。暫くすると沢はYの字に二俣に別れ、そこが八ノ沢出合いと始めて解った。左の八ノ沢を進む、道は沢を進んだり沢沿いの樹林帯を行く。渡渉も数回有り時には太腿もで水に浸かった。水量は雪解けで多い。沢は右に迂回し、そこで始めてカムエクとの御対面であった。 青空に浮かんだその姿は神々しい、ピラミッド峰や残雪の多い八ノ沢カールも望め気分も高まってくる。途中何回か道に迷い、3時間半で1,000m三俣に到着、殆ど雪渓で埋まっている。右岸の登り口で朝食タイムをとる。 沢筋に進むと三段ノ滝よりの雪渓の末端に着き、長い雪渓歩きとなる。時折クレパス状に口を開けているので慎重に進む。三段ノ滝は右岸の急登になる、左に滝を見ながらのかなりの急坂である。途中二股(迷い易い名所)より流れ落ちる小滝をずぶ濡れにになりロープを使って登り、その沢を登り詰めると二俣に着くが、見事に逆方向に登ってしまい、気ずいて引き返したが1時間くロスってしまった。 二股より沢を詰めていく、かなりの急坂だ、途中三段ノ滝を左に見ながらロープ伝いに行く所も2~3箇所ある。登り詰めるとカールよりの八ノ沢の末端に着くが、ここまでカールより一直線に雪渓が続いている。私は雪渓の崩壊を恐れ、右隣の比較的安定した雪渓を詰めた。沢靴での急な雪渓登りの為、かなりの時間を食ってしまった。雪渓の先端部まで登り詰めていくと、先は岸壁で行き止まりで、左の藪を漕ぐしかない。考えていると登山者が薮の中から丁度現れ道を教わり助かった。その代わり激しい薮漕ぎが待っていた。何とか脱出した所が八ノ沢カールの真下の道であった。少しの登りでカールに到着、カールは殆ど雪に埋まっている、カムエクとピラミッドピークが大きい。  既に時は13時、これから登っても陽の高い内にはテントには帰り着かない、又山もガスってきた。考えたがここでビバークを決意する。八ノ沢カールでのビバークは前代未聞であろう。 軽い食事を取り、持参した服を全て着込みツェルトに包まる。カール端のガラ場にて辛い一夜を過ごす事になった。時間が経過するのが長く異常に寒い、熊除けにラジオは一晩中点けっぱなしにした。夕方位より空は晴れ渡り、夕焼け、夜中は満点の星空になったが、我々は寒さと熊の恐怖との戦いで殆ど眠れぬ夜を過ごした。暗闇に時折ナキウサギの鳴き声が聞こえていた。

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7/14(晴後曇、小雨)  八ノ沢カール(04:25発)~稜線コル(05:20着05:35発)~カムエク山頂(07:06着08:10発)~稜線コル(09:08着09:15発)~八ノ沢カール(09:40着10:30発)~三段ノ滝(13:10着13:30発) ~1,000m三俣(14:20着14:40発)~幕営地(17:40着)

何とか二人共生き延びたようだ。朝は予想通り快晴、御来光が十勝幌尻岳の右側より昇る。4時半過ぎいよいよカムエクにアタックする。羆により遭難された福岡大生の慰霊碑に黙祷し、尾根まではアイゼンを付け雪渓の壁を登り、草付きの急坂を攀じ5時過ぎにピラミッドピークとのコルに出る。 1,839峰やコイカクが望め感動する。ここからは狭く急な痩せ尾根の岩場を攀じる。途中這松が茂り道が良く解り辛い。所々高山植物が素晴らしい。新井君は恐怖心で遅れ気味だ。岩稜の途中、狭い這松の道に羆の糞を2箇所確認、そんなに古くは無い。   7時過ぎ、念願のカムエクの山頂に立った。展望は360度のパノラマでピラミッドピーク、コイカクシュサツナイ岳、1,839峰、ペテガリ岳、札内岳、イドンナップ岳、十勝幌尻岳、戸蔦別岳、幌尻岳、ピパイロ岳、岩内岳など日高山脈が丸ごと望める。山座同定は全ては難しい。コイボクカールも美しい、下から担ぎ上げたお手製の山名標示板で記念撮影をする。1時間程展望を楽しみカールへ下る、途中八ノ沢からの中高年の方に出会う、5時出発との事でかなりの健脚の方だ。1時間半でカールに到着。  いよいよ問題の下りが始まる、カールより降りて直ぐに薮漕ぎのトラバース、心配していた程さほど苦労はしなかった。直後アイゼンを付け急な雪渓を下る。新井君は少々腰が引けて遅れ気味だ。末端に着くと、さっきコルで会った方が足早に八ノ沢の雪渓を降りて行った。やはり其方の方が正解のようだ。ここで沢靴に履き替え、三段ノ滝迄道を間違えながら汗と水に濡れ沢と登山道を何とか下った三段ノ滝にて道に迷って諦めた千葉より来た方に会う、残念であろう。やはり二股付近で間違えたようである。ここから見上げる八ノ沢カールは天空の城のようで高い。三俣までの雪渓は沢靴でゆっくり下った。三俣よりは八ノ沢沿いに下るが、渡渉と巻き道(解り辛い箇所多い)を繰り返しながら、又赤ダニやブヨと戦いながらひたすら下った。途中。出合のテン場の横に出て初めて場所を知る。 三俣より3時間で何とかテントに到着、苦しく感動の2日間が終わった。流木で焚火をし食事を取り、早々にシュラフに潜り込んだ。

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7/15(晴)  幕営地(06:50発)~七ノ沢出合(10:15着11:00発)~ゲート(13:30着14:25発)~日高山脈山岳センター(14:40着14:50発)~中札内道の駅(15:00着15:30発)~三石温泉(17:58着19:30発)~ウトナイ湖ユース(22:10着)

下山日、朝は4時起床、新井君を起こす。ゆっくり朝食をとり荷物を纏め7時前には出発した。早朝は沢に浸かるのは辛い。今日は朝より濃霧で曇っている。マーカーを頼りに下るが、やはり途中で解らなくなり何度か道を探す。殆ど林の中に道は取られているが、ジャングルの中を薮漕きするようで道とは名ばかりである。迷ったが何とか七ノ沢出合に到着、約3時間係った。 途中空も晴れ渡り札内川の河床の景色が美しい。七ノ沢出合の河川敷に熊の足跡があった。後は2時間半かけて林道を重い荷物が肩に食い込み辛い歩きをゲート迄続け、今回のカムエク行は終了した。  この後、日高山脈山岳センターで下山届を提出し、中札内の道の駅に立ち寄り三石温泉に向かう。途中のコンビニより荷物を送った。 三石温泉では入浴後、夕食につぶちらし丼とカジカ汁を注文、最高に旨かった。ウトナイ湖のユースには22時過ぎにようやく辿り着いたが、気持ちよく受け入れてくれた。

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7/16(曇後晴)  ウトナイ湖ユース(08:10発)~松田レンタカー(08:45着09:00発)~千歳空港(09:10着12:10発)~羽田空港(13:40着14:20発)~熊谷(17:20着17:40発)~自宅(19:00着)

朝はぐっすり6時半迄爆酔した。朝食をとり8時に出発、ウトナイ湖は見物しなかった。ユースは古く老朽化しているが、古き良きユースの味わいが有り、食器も自分で洗う家族的なものであった。我々と昨夜同時刻に到着した御夫婦も今日は後方羊蹄山を登りに行くそうである。  9時にはレンタカーを返却し千歳空港へ、土産も時間をかけて選んだ。下山祝に海鮮の丼物で乾杯、登頂祝いをした。予定時刻に千歳を発ち羽田へ、モノレールを快速と知らず、往復してしまう珍事も。熊谷駅より車へ、途中スーパーへ立ち寄り19時には自宅に辿り着いた。  今回は登山開始迄迷ったが、結局念願のカムエクを登頂すろ事が出来、当初の予定の神威岳はカムエクに4日係った為取りやめたが、大きな功績を残せた。初めてのビバークや沢登りの醍醐味も堪能出来た。失敗も免許証を忘れたり、荷物が郵パックだと日高山脈山岳センターへ届かなかったりあったが、怪我も無く順調に行った山行であった。 また後談だが、山頂に置いて来た山名標示板で登りし方々が記念撮影をされているのをホームページで良く散見するが、思い出して嬉しいものである。

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熊谷~羽田 1,740円×2=3.480円    羽田~十勝帯広(JAL)、千歳~羽田 23,400円+20,400円
レンタカー 37,500円    ユース代 2,050円     荷物送料 4,000円    他土産代、食事代などで一人 10万位の費用

-山行記, 日本300名山